▼錯誤
内心的効果意思と表示行為が対応せず、しかも意思表示をした本人(表意者)がその不一致を
知らないこと。


錯誤は本来、内心的効果意思を欠く意思表示であるから、錯誤にもとづいて法律行為を行なった
本人を保護し、錯誤にもとづく法律行為を無効とするのが原則です。
しかし、それでは表意者の意思表示を信頼した相手方の保護に欠ける結果となることが問題に
なるため、民法では次の方法により表意者保護と相手方保護の調整を図っています。


@法律行為の要素に関して錯誤があったとき
 →「意思表示は法律行為の要素に錯誤があった場合に無効とする。」
 

 法律行為の要素とは「意思表示の内容の主要な部分であり、社会通念上この点について錯誤
 がなければ表意者はそのような意思表示をしなかっただろうと認められるような部分」のこと。
 このような重要な部分について錯誤があれば、表意者を保護しようという趣旨。


A表意者に重大な過失があったとき
 →「表意者に重大な過失があったときは、表意者が自ら無効を主張することができない。」


 これは表意者が少し注意すれば、要素に関する錯誤を回避できた場合に、その表意者は保護
 に値しないので、無効の主張ができないものとするという意味。
 なお、表意者に重大な過失があった場合でも、相手方が錯誤を知っていた場合には、相手方を
 保護する必要はないので、表意者から無効を主張することが可能となります。(判例)


民法では、動機そのものが思い違いに基づくものである場合には、「錯誤」の範囲に含めることが
できないので表意者を保護することは本来できませんが、判例ではこうした場合にも一定の要件
のもとで「錯誤」として取扱い、表意者を保護しています。

2006/04/04 12:00

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